上ッテ下ッテ また 上ル

毎日あんなに暑かったはずなのに…なんだか秋らしさいっぱいの上高地です。ここからまた、上ったり下ったり。

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テントを担いで その4

 ●9月16日 4日目
前日にあまりにも早く寝たので、真夜中の2時にパッチリと目が覚めてしまいました。
寒くて目が覚めてしまった…というのもあります。

時々バサバサと音を立てていたテントは優しく波打つような揺れになっていました。
そっとファスナーを下ろして恐る恐る顔を出してみました。
「まだ霧の中だったら…」
そんな心配をしていたのです。

外は、凛とした空気が張り詰めていました。
そして、息を呑むほどきれいな星空と槍のシルエットが私のテントを見下ろしていました。
あれほど厚く覆われていた霧はいつの間にか消えていたのです。
真っ白い息を吐きながら、満天の星空を眺めます。

槍まで来てよかった…本当にそう思えた瞬間でした。
下っていたら、この景色は見られなかった。
テントを背負ってこなければ、きっとこんな風に真夜中に星空を見なかった。
雨の中の重い荷物を背負ってこなかったら、ここまで感動しなかったかもしれません。

冷えてしまった体をさすりながら、ミノムシをさらに小さく丸まりながら、再び眠りにつきました。

早朝、外が明るくなって目が覚めました。
外に出ようとしたら、テントのファスナーが開かない!
霧と雨で濡れたフライシートが凍結していたのです。
半ば強引にひっぱり開けて外に出たら、朝日を見ようと山頂を目指す人たちのヘッドランプの明かりが見えました。
テン場周辺はすでにご来光を見ようと多くの方がスタンバイしていました。

テントのそばでご来光を待ちます。
昨日の山行で濡れてしまっていた登山靴はカチコチに凍っていて、それを履いて朝日を待つ間が一番凍えて震えていました(苦笑)

雲海の端がオレンジ色に染まり、5時40分頃、ゆっくりと太陽が昇ってきました。
テントで縦走 179

今、この時にしか見られないご来光。
朝日を浴びると今日1日が元気に過ごせそうな予感がするから、不思議です。

テントで縦走 181
槍の先からずっと日が当たっていきます。
赤く染まるのはほんの一瞬の出来事です。
寒くて日の出を待つ間、ずっとピョンピョン飛び跳ねていたのに、日が当たるとほわんとぬくもりが体全体に広がっていきました。

ご来光を充分楽しんで、テントに戻って朝食にしました。
今朝はチャイと槍ヶ岳山荘で焼いているパンです。
テントで縦走 190

中はふっくら、外の皮はパリパリ。
美味しかったです。
とてもリッチな気分になる朝食でした。

テントで縦走 192
朝食後、槍の山頂を目指します。
日陰は前日の朝に降ったミゾレ(きっとほぼ雪だったはず)の塊が残っていました。

凍っていないか心配していたハシゴはとても冷たかったけれど、素手で問題なく登れました。
そして長いハシゴを上りきったら、槍ヶ岳の山頂です。

テントで縦走 193
今回4度目になるこの景色。
360度ぐるりと見渡せる大パノラマは、やっぱりステキな場所です。
山々を眺めていて山の名前が分かることに、自分が歩いてきた積み重ねを実感しました。

テントで縦走 200
眼下の山荘、そして自分の家が小さく見えました。
下に雲が見える…私は雲の上に居るということ。
改めて考えると、すごい場所に立っているのです。

昨日、西岳ヒュッテで出会った男性ふたりも山頂に登ってきました。
最後のハシゴを登り切って、「やったー!!」とお互いにハイタッチをしていました。
「昨日、登っておいて良かったですね」と私の姿を見つけて駆け寄ってきてくれたので、一緒にハイタッチをしました。
その笑顔と喜び、満足感、達成感…たくさんのものを分けていただきました。
テントで縦走 201

テントを片付け、山荘でコーヒーをいただいた後、下り始めます。
今日はひたすら下りで、22kmの道のりを歩くことになります。

テントで縦走 212
播隆窟と呼ばれる場所から槍ヶ岳を望む。
槍ヶ岳に初めて登ったとされる播隆上人がこの洞窟をベースにし、槍に何度も足を運び、またお経を唱え修行した場所とされています。
彼はここで何を考えながら過ごし、歩いたのでしょうか。

途中で、天狗原への分岐に荷物を置き、天狗池まで行ってきました。
残念ながら雲が湧いてきて、槍の先はガスが掛かっていて見えませんでした。
けれど、雪解けた水が流れて湧き水とともに澄んだ水を蓄えていました。
とても静かな、穏やかな空間がそこにありました。
テントで縦走 218

再び荷物を担いで槍沢を下ります。
気持ちのいい天気で、Tシャツ1枚で歩けます。
昨日までのガチガチに震えていたのは何だったの?…というくらいの気候でした。
テントで縦走 236

槍沢ロッヂの上の登山道の様子です。
テントで縦走 238

ひどく崩れ、樹がなぎ倒されていました。
6月の雨の日に山肌が崩れたそうです。
今は歩けますが、崩れた当時は道を作るのが大変だったそうです。

ひたすら歩いて、横尾を過ぎ、徳沢を過ぎた辺りでとうとう座り込んでしまいました。
濡れた登山靴で下ったために、足の裏はマメだらけになっていました。
マメ…と言うよりはひどく大きな水ぶくれでした。
真っ白になった足を乾かして、また靴を履き、痛みを我慢して歩き、やっと上高地に帰ってきました。
とても疲れたけれど、とても楽しい4日間の縦走を終えることが出来ました。


去年までの私は、「テントを持って歩くなら1泊2日」と固く心に決めていました。
夜露に濡れたテントをザックに入れて背負って歩くのが嫌。
汗をかいてもお風呂に入れない日が続くのが嫌。
荷物が重いのが嫌。
寒いのが嫌。

そんな嫌々をたくさん重ねて、無理だと思い込んでいたのです。
今回、3泊4日のテントを担いだ縦走をしてみて、あれほど「嫌だ」「無理だ」と思い込んでいたテントは全然平気でした。
まぁ、想像以上に寒かったですけれど…(苦笑)
今年はこれで活躍は終わってしまっただろうテント…テントのお陰で色んな思い出が出来ました。
来年はまた新たなテント縦走を計画し、実行してみたいと思います。



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