上ッテ下ッテ また 上ル

毎日あんなに暑かったはずなのに…なんだか秋らしさいっぱいの上高地です。ここからまた、上ったり下ったり。

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白馬大雪渓BCスキー

すでに遠い昔のような、5月も中旬のことですが…(汗)
同じ長野県、同じ北アルプスと言っても、完全アウェーの白馬大雪渓にスキーを担いで登ってきました。

乗鞍岳の春山バスを利用して、一応勝手の分かっている斜面を滑れたらいいなぁと思いながら、次の休暇を楽しみにしていました。
ところが、例年より早い雪解けによって斜面は大きな溝が縦に走っていて滑りにくそうだという情報を得て、前日に行先が白馬に変更になってしまいました。

気楽な気分は一転、不安だらけ。
登れるかな。
滑れるかな。
落石…めっちゃ怖い(泣)

不安が大きすぎて「いっそのこと天気が悪けりゃいいのに」と正直思わなくもなかったのです。(相変わらずのネガティブ思考ですみません…)
ですが迎えた当日はここ数日の中でも一番天気が良く、「今日行かないでいつ行くよ?」と言い聞かせるしかない絶好のバックカントリー日和となったのでした。

今回この山行を企画し一緒に登ってくれたのは、パウダー大好きバックカントリー大好きのマスターです。
まずは板もブーツも背負って、猿倉から歩き始めます。

猿倉周辺は、まさに新緑の季節。
鮮やかで柔らかい新緑にそこら一帯が染まっていました。

まずは白馬尻を目指します。
雪が無いと思っていたのに歩き初めからほとんど雪が付いていて、つづら折りの道を直登したりしてショートカットすることが出来ました。
そして思ったより早くスキー登行に切り替えます。

スキー板を前に出すたびに、ビンディングのリズミカルな音が響きます。
滑って帰れるのか心配になるくらいの狭い木立を抜けると、やがて真っ白な雪渓が広がりました。
あれ?どこから大雪渓??

当然あると思っていた白馬尻小屋は影も形もありません。
雪崩の巣窟ゆえ、冬期は解体されてることを初めて知りました。
そう言えば、プレハブだったな…と思い出すものの結構大きい山小屋だったので、にわかに信じられず、何度も振り返っては真っ白な雪面を眺めていました。

ひたすら上を目指してスキーを前に進めます。
時々のんびりしたカッコウの鳴き声が谷間に響きます。

「あ、落石!」前を歩くマスターが突然声をあげました。
一瞬、緊張が走ります。
しかし私には落石の瞬間も雪の上を転がる石の音も分からず、きょろきょろと辺りを見渡しても鳥のさえずる穏やかな空間が広がって見えるだけでした。

しばらく無言で登って斜面を見上げると、右上部から茶色の筋が雪渓中央まで伸びているのが目に入りました。

P1020524.jpg
落石…と言うより、土も一緒に山の表面が崩れ落ちたように見えます。
さっきマスターが言った「落石」が同じものか分かりませんが、ついさっき発生したことは確かなようです。
その周辺には豆粒くらいの人影がいくつか見え、再び緊張が走ります。
巻き込まれた人って、まさか…居ないよね??

立ち止まって人々の動きを見ていたのですが、皆上を目指して歩いているようです。
「あぁ…よかった」安堵感が広がります。
ただ、やはりこの季節は落石が多いことを目の当たりにし、気分がズーンと落ち込んでしまいそうでした。

この落石の危険地帯をなんとか立ち止まらないで素早く通り過ぎようと努力します。
しかし息が上がり、シールも上手くかんでくれず、気分ばかり焦ってしまいました。

P1020528.jpg
なんとか無事に通過した後に見上げた斜面からは、大量の土砂と根ごと転がってきた倒木が流れて止まっていました。
そして流れからはみ出て至る所に散乱した大量の石。

この辺りから、拳サイズの石が雪の中に隠れて散らばっていました。
きっと斜面から転がっては雪の上に落ち、石の周りの雪が解けて沈んでしまい隠れているように見えるのでしょう。

P1020532.jpg
葱平を過ぎた辺りから斜度が出て、スキーで登るのは難しくなってきました。
板を背負い、キックステップで慎重に上を目指していきます。
今回の行先は、白馬岳ではなく杓子岳に行くことにしました。
夏道沿いではなく、小雪渓と呼ばれる沢を確実に登っていきます。

稜線の手前で雪が切れ、稜線の雪は全く無い状態でした。
雪の上で板を置きブーツからスニーカーに履き替えて、山頂を目指します。
軽くなった足回りが嬉しいものの、ガレ場の小石に足を取られて歩きにくく、山頂までが目の前にあるのに遠く思えました。

P1020548.jpg
杓子岳(2,812m)山頂に到着です。
なだらかに続く稜線の先には、白馬鑓ヶ岳が見えました。

P1020542.jpg
反対は、白馬岳。
先に板を担いで登った人たちがかなり急な斜面を颯爽と滑り降りていくのが見えました。

P1020552.jpg
まだまだ雪が残る山並みは、滑ったらとても気持ちよさそうに思えます。
気持ちに余裕があるせいかはわかりまんが…。

あのなめらかな斜面を滑っては登り、そして滑って。
いつかそれが出来たらいいなと思うほどの、きれいな景色でした。

P1020544.jpg
雪の残るなめらかな斜面の向こうに見えるのは、剱岳です。
ごつごつした急な岩肌はほとんど雪が残っていませんが、まだまだ人を寄せ付けないような凛としたたたずまいに見えました。

杓子岳の山頂は風が少しあったものの、それほど寒くなかったので、360度の景色を見ながらランチタイムにしました。
お腹が満たされると疲れていた体も元気になり、下ることにします。

稜線から少し下の、ハイマツ帯の下部から滑走開始です。
ドキドキ、バクバク…心臓に悪い瞬間がやってきました(苦笑)

そんな気持ちを知ってか知らずか、マスターはサラッと滑り始めました。
この瞬間が一番楽しみなので、待ちきれなくて当然なのですが…。

P1020570.jpg
ざくざくの雪をシュプールに変え、相変わらず狂いの無いきれいなターンを描いて行きます。
上から見ていたら、どんな場所でも滑りやすそうな斜面だと錯覚してしまうくらいの滑らかで積極的な滑りです。
眼下に広がる景色に吸い込まれていきそうなほど、一気に滑り下りていきました。

P1020588.jpg
杓子の山並みをバックに滑り降りるマスター。
とても気持ちよさそうです。
時間をかけて登った斜面は、一瞬で滑ってしまいました。

いざ、自分の滑走…だったのですが。
ビビり調子でなかなかターンできず、もったいない斜面の横滑り。
そうして、やっとの思いで最初のターンを決めてからは、なんとか緊張がほぐれてきました。

20150514hakuba2.jpg
ガチガチに緊張した感じが抜けていない滑りですが…。
ひとつひとつを丁寧に、体勢が崩れてしまわないようにだけ考えて滑りました。

全然楽しめてない感じもありますが、途中からは何とか周りを見渡す余裕も出てきました。
そして中腹まで下ってからは、小粒の落石との戦いでした。
避けても避けても隠れた石にヒットして、ガリガリとソールを削る音がします。
「これもまた経験値だから」と言い聞かすしかない、悲しい音でした(涙)

P1020649.jpg
大雪渓を滑りきり、白馬尻を過ぎて、林道まで戻ってきました。
行けるとこまでスキーで滑っていきますが、この辺りは新緑がとてもきれいでした。

滑るのがつらくなったところで、スキー板を背負って最後の下りを歩きます。
足が疲れているのが分かるくらい、よろよろしていました。

20150514hakuba3.jpg
猿倉荘の少し上の標高1250m辺りのブナ林は、ちょうど新緑真っ盛りでした。
柔らかな緑色が空を覆いつくし、生命力に満ちた空間が広がっていました。

こうして無事に終わった(スキー板は無傷ではすみませんでしたが)大雪渓バックカントリー。
少しまた経験値がアップしたかなと嬉しく思います。
今シーズンはこれで滑り納めだと思いながら、汚れた板とブーツをきれいにして片づけたのでした。



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春山へGO!~涸沢ステイ 2~

5月1日、滞在2日目。
今日も気持ちのいい青空に恵まれました。

起床時間に目覚めたら太陽はすでに昇っていて、真っ青な空と真っ白な残雪のコントラストがとても眩しく目に飛び込んできました。
滞在前から気温が高めになっていたので、太陽が昇るころには雪もそこそこ柔らかく、稜線を目指してどんどん登っていく人影がアリの行列のように見えました。

P1020324.jpg
涸沢から北穂高岳の眺めです。
北穂への登山者は涸沢小屋の横から取りついて、北穂沢を登り北穂の山頂を目指しています。
時間は7時半ごろです。

P1020325.jpg
少し左(西側)に目線を移して…北穂から涸沢岳に続く稜線です。
画像の左端の白くフラットな部分が白出のコルで穂高岳山荘があるところです。
この時期に奥穂高岳を目指す方は、ザイテングラートの南側(画像では左側)のあずき沢から白出のコルまで直登します。
この日はこの画像の一番へ凹んで見えるコル、『最低のコル』まで行ってみようかと考えていました。

前日みんなで飲んでいるときに「早く行かないと、雪が腐るよ」とアドバイスを貰っていたので、なるべく早く行く気満々だったのですが…。
私が思っていた「早め」よりもっともっと「早く行け」ということだったらしく、行こうとしたら「まだ行ってなかったの?」言われてしまい、すでに出遅れ気味に。

秋にはダケカンバの黄葉が綺麗に色づくモレーン横を直登するつもりで、いざヒュッテのヘリポート横から歩き始めたのですが…。
ブッシュが見え始めている周辺は予想以上に雪が柔らかく、スキー裏のシールはうまく雪を捉えてくれません。
直登なんてもってのほかで、生まれたての小鹿ちゃんのように足をプルプルと緊張させながらなんとか登れる角度へ方向転換せざるを得ない状態でした。
敗北感を滲ませながらのジグザグ登行に、ペースも一気にダウンします。

後ろからは、同じところを登って滑ろうと思っているのだろうボーダーふたり組が軽快に追いついてきます。
「自分は自分」と言い聞かせながら、とにかく足を滑らせないように注意し上を目指します。

涸沢小屋の一段上までなんとか登ったところで、周りをゆっくり見渡す余裕が出てきました。

P1020335.jpg
北穂沢を直登し、さらに上を目指す登山者の列。
あちらも頑張っているのでしょうか…勝手にそう思い込んで、自分を奮い立たせます。

獅子岩までは比較的なだらかな斜度なので、スキーで標高を稼ぎます。
しかし上手くスキーで登れない部分も時々出てきて、直登と蛇行を繰り返しながら、なんとか上を目指しました。

P1020340.jpg
くっきりと見えるのは、前穂高岳の北尾根です。
その中のカールの部分は、例年より少ないと言ってもまだまだ真っ白な雪に覆われています。
なめらかな雪の斜面に見えますが、小さな雪崩跡(デブリ)と雨が降った時に出来る縦溝がいたるところに出来ていました。

斜度が急になってからはスキーを脱ぎ、担いで登ることにします。
ブーツで一歩一歩蹴りこみ直登します。

「スキーより早い!」と思っていたら、ブーツが雪に食い込まず踏み抜いてしまします。
思った以上のザクザクぶりに閉口してしまうことが度々あり、無駄に体力を消耗しました。
また、ルートを見て修正しながら登っていたのに、目の前に現れたクレバスが予想以上に深く大きくて、横ばい移動を強いられるなど、反省の多い山行になりました。(滑走のために端っこを登ったらそれが裏目に出てしまった感じです)

P1020348.jpg
そうして、やっと到着した最低のコル。
吊尾根が近くに見えて感動するも、最低のコルと吊尾根との標高差を改めて実感しました。
ザックを下して一息つくと、達成感と大きな安堵感がじんわりと湧いてきます。

P1020351.jpg
稜線を挟んで反対側は岐阜県になります。
笠ヶ岳から弓折岳の山並みが白くえましたが、岐阜県側もやっぱり今年は雪が少ないのでしょうか。

P1020353.jpg
登ってきた方向の景色です。
雪の中に小さく見える、ヒュッテとテント村。
屏風岩の向こうには蝶ヶ岳の山並み。
さらにはその向こうの山々まで見渡せました。

稜線は日差しが強烈なものの、風もなくとても気持ちがよかったです。
もう少しゆっくりしていてもよかったのですが、お昼まであと数十分。
お腹が空いたのでそろそろ帰ろうかな。
そう思って帰れるのは、ここだからこそ出来るのです。

滑り始めは慎重に。
斜度にビビりながらなんとかターンをして、最初をやり過ごします。

その後は華麗に…なんてとても滑れるはずがなく、小さい溝にびっくりし転倒しかけて持ち直すことの繰り返し。
酷使した太ももはもはや限界で、登りも下りもよろよろの蛇行状態でした。

無事に戻ってきていただいたお昼ご飯は、心と身体に染み渡るほど美味しかったです。
やっとほっとすることが出来ました。

P1020361.jpg
その日の午後のテント場の様子です。
どんどんテントが建ち並び、カラフルテント村が絶賛拡大中でした。
GW本番なんだなと実感する昼下がりでした。

こどもの日が近いので、リュックに小さな鯉のぼりを付けて登ってきて、テントに飾る人をよく見かけました。
私もいつかそれをしてみたいなと思っています(笑)


5月2日、滞在3日目。
前日よりも起床時間が早くなったのですが、起きた時にはすでに日は昇っていました。
もう少し早く起きたらモルゲンロートが見られたのに…外に出た瞬間に、寝坊した気持ちになりました。

P1020369.jpg
朝の天体ショーを満喫した人でヒュッテの周りは賑わっていました。
ほんのり色づきを残した穂高の山肌。
自分には、後悔色に見えてしまいます。

お昼までヒュッテでお手伝いをさせてもらって、午後に下ることにしました。

P1020373.jpg
ヒュッテのテラスから見下ろすと、こちらを目指して登ってくるアリさん…もとい、人の列がずっと続いていました。
この日も最高に天気がよく、多くの登山者がやってきています。
分岐から、ヒュッテと小屋(テント場)へ別れて登っていく人の列がよく分かります。

こんなにたくさんの人のそばを滑り降りるなんて。
そう案じていたら、やってきた支配人から「ギャラリーがいっぱいいるなぁ」としっかりプレッシャーを与えてもらいました(苦笑)

ヒュッテの玄関横からスキーを履いて下山開始です。
まずは、一番人が集まっている分岐点へ。
気温の上昇でグラグラになっているであろう道標を差し直すよう、指令が下されていたのです。

道標の周りでは、休憩をしている人や記念写真を撮っている人たちで人だかりが出来ていました。
申し訳なさそうに横から道標を掴んで持ち上げ、雪に差し直します。
思ったより刺さってしまいましたが、これでしばらくは倒れることなく人々に行先を示してくれているでしょう。

再び、スキー板を履いていざ!
スキーで現れ道標に手を出した私に集まる好奇的視線は、痛すぎるほど伝わってきます。
颯爽とその場を後に出来たらかっこいいのでしょうけれど、上手くいくはずもなく、もはや逃げるように立ち去りました。

「なるべく上部を滑ったほうがいいよ」と帰る前にもらっていたアドバイス通り、歩いている人々より高い位置を滑って下りました。

P1020377.jpg
人の列は本谷橋から続いているようで、それを見下ろすように滑ります。
出現し始めたダケカンバのブッシュをうまくトラバースし、いつもと違う景色を楽しみながら下ることが出来ました。

横尾谷出合から本谷の周辺は、鉄砲水か雪崩で砕かれた枝がたくさん散乱していて、その間を登山者は縫うようにして歩いていました。
さすがにその中にスキーで滑りながら入っていく勇気はなく、出合のすぐ下で滑走終了となりました。

長靴に履き替えブーツとスキーを背負い、あとはひたすら歩くのみ。
滞在した3日は気温がとても高く、行きに雪の上を歩いたはずが帰りは融けている場所がいくつもありました。

暑くなることを予想して帽子ではなくサンバイザーを被って登ったら、頭皮が真っ赤に日焼けして後日脱皮しました。
頭にもUVが必要だと痛感しました。

しんどい思いもしたけれど、それ以上に楽しい時間を過ごせました。
涸沢でこの時期にみんなに再会出来たことは、今シーズンの仕事にも山登りにもいい影響を与えてくれそうです。
お世話になったヒュッテのみんなに感謝です。
笑顔で迎えてくれた小屋のみんなもありがとう。



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春山へGO!~涸沢ステイ その1~

巷はゴールデンウィーク。
私もそれに合わせたかのように、夢の(?)3連休を取らせてもらいました。

その連休中に向かった先は、上高地から歩くこと6時間の涸沢。
この時期に涸沢に行くのは、小屋番をしていた時以来です。


4月30日。
しばらく快晴続きで、この日も裏切ることなく晴れた朝を迎えました。
しっかり朝食を摂り、ザックにはスキー板とブーツを固定し、いざ出発です。

板を背負う…ただそれだけで、何故か心臓がドキドキバクバクします。
滑れることを心配してる?
それとも登れることを心配??
なんだかいつもと違う慣れない山歩きスタイルに、ひょっとしたら身体が勝手に緊張していたのかもしれません。

そんな無駄にテンポアップした鼓動は少し歩けば治まって、園路内の観察も兼ねてゆっくりしたスピードで歩くことが出来ました。
少し前に情報収集で歩いた時には雪がいっぱいあったのに、今回は徳沢までの道には雪は全くありませんでした。
足元の小さな芽吹きを探してみたり、さえずる鳥の行方を追ってみたり…立ち止まってはカメラを取り出し、きょろきょろパチリ。
そんなこんなで、かなりのスローペースとなりました。

P1020251.jpg
朝陽を浴びた新芽は、今まさに葉を開こうとしているオオカメノキ。
葉と葉が手を繋いでいるようで、なんだかほっこり和める姿でした。

P1020255.jpg
雪が解けあっという間に顔を出したのは、ニリンソウ。
ピンク色の小さなかわいい蕾をつけていました。
例年より、1週間から10日程早く成長しています。

P1020259.jpg
葉を開き始めているのは、クルマバツクバネソウ。
きゅっとねじれていた葉がほどけていく感じがとても好きです。

P1020274.jpg
横尾山荘前の様子です。
この日はGWと言っても平日だったので、それほど混雑はしていませんでした。
この時期に鯉のぼりが橋の上で泳いでいるのを初めて知りました。
青空の下の鯉のぼりはとても気持ちよさそうでした。

登山道が雪に覆われていて、横尾の手前から車道を歩きました。
横尾から先も、すぐに雪道になりました。
ザクザク雪と冷たいシャーベット状の雪が混ざった水たまり。
長靴だったので気にせず突進出来ましたが、登山靴だったら水たまりを避けるのに一苦労だったと思います。

屏風岩がよく見える場所では大きな雪崩跡があり、長いトラバースが必要です。
ただ、きちんと雪を切って道が作られているので、足元をしっかり確認しながら歩けば問題はありません。

P1020292.jpg
雪解け水をたくさん集め、勢いよく流れていく清流の梓川。
こういう景色を見ると「春だなぁ」と実感します。

本谷橋周辺はまだ雪が深く、橋は架かっていません。
橋が架かるまではもう少し雪が解けを待たなくてはならないようです。

P1020299.jpg
小さなクレバスが出来始めている本谷橋上部の様子です。
今回は沢に沿って登っていくこの時期限定のルートを歩きます。

スキー板にシールを貼り、背負ってきたブーツに履き替えます。
1年ちょっとぶりのシール登行…なんだか違和感だらけで、ものすごくぎこちない自分が居ました(涙)

歩き慣れないのと、ざくざくに緩んだ雪のせいで、大した傾斜でもないのに直登できず、ジグザグに登っている間にツボ足のパーティに散々追い抜かれました。

P1020305.jpg
時間短縮の期待が木端微塵に打ち砕かれ、登る気力も失いかけ…。
雪の照り返しが眩しくて痛く、涙が止まらなくなりました。
それでも広がるのは、果てしなく続くように思われる雪の沢。

心が折れそうになりながらも、足を前に出す努力をします。
1、2、3…ひたすら歩みをカウントしながら。

P1020306.jpg
目線の先に見えたのが、この雪だるまです。
転がっていた雪の塊と落ちていた枝で作ったものでしょう。
目が無くなっていたので、代わりになりそうな物を拾って付けてあげました。
心が潤って、笑顔になれます。

P1020312.jpg
今日の目的地の涸沢が見えてきました。
あと少し、でもまだまだある…。
そんな葛藤に負けないよう、ひたすら歩きました。

ヒュッテに近づくと、テラスで休憩していた小屋番たちが手を振ってくれましたが、これまた大きなプレッシャーで(苦笑)
見えている(見られてる)間は、リズミカルに歩くことだけ集中していました。

なんとか無事にヒュッテにたどり着き、売店でいただいたラーメンがとても美味しく、ほっと染み渡りました。
さっそく、ヒュッテで太陽の光をいっぱいに浴びた布団を片付けるお手伝いをさせてもらいました。

翌日はスキーでさらに上を目指します。
続きはまた…。


♪おまけ♪
P1020317.jpg
長野県警の常駐隊が、GW期間中涸沢に入っていました。
前穂北尾根斜面で訓練をしていました。
安全登山と無事故を祈って…。



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乗鞍岳でご来光

9月の中旬に乗鞍高原からバスに乗って、ご来光を見てきました。


1年に一度はどこか稜線でご来光を見たいけれど、去年と今年は見る機会を失ったまま…。
出来ればテントを担いで山に登って、大自然の中で小さなマイホームを構えて、朝を迎えてご来光を眺めたい。
しかし今年はそれも叶わず…。

バスで楽するのは性に合わないけれど、今年は仕方がない。
乗鞍高原からは、7月上旬から9月末までご来光の時間に合わせて、早朝にバスが出ています。
今回はそれに乗って、ゆるっと朝日からパワーをもらってきました。


夜には満天の星空が広がり、出発前の空も変わらず星が瞬いていました。
ただ肉眼では稜線が見えにくく、曇っていたらどうしようとドキドキしながらのバス乗車になりました。
バスの出発は4時10分。
畳平までは50分バスに揺られ、ぐんと高度を上げていきます。

バスは暖房が入っていてとても暖かく、先に乗り合わせた人たちは皆ウトウトしていました。
起き掛けすぐだったせいか、暖房のせいか、うねうね山岳路線のせいか…一刻も早く下車したい気持ち悪さを経験する羽目に(苦笑)

ご来光バスの時だけ停車する県境で下車し、大黒岳でご来光を待ちます。
手袋とニット帽を今シーズン初着用しましたが、吹き抜ける風が冷たく思わず身震いしてしまいます。
しかしだんだん空全体が明るくなり、東の空がオレンジ色やピンク色を帯びてくると、寒さを忘れてずっと空を眺めシャッターを切っていました。

前もって調べておいた県内の日の出の時間を少し過ぎた頃、待ち望んだ朝日が顔を出しました。

P1000267.jpg
青空キャンバスに刷毛で描いたような美しいすじ雲のバランスは絶妙で、激しさはないけれど包み込まれるような優しい朝日を見ることが出来ました。
ずっと見たかったご来光。
たくさんのパワーを充填して、すっきり清々しい気持ちになれました。

満足いくまで朝日を眺めた後は、大黒岳を北側へ歩いてみました。
こちらの道を歩くのは初めてで、ハイマツが見事に広がって点在するコマクサがたくさん見られる場所でした。

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初夏に咲く、高山植物の女王・コマクサ…の咲き残り。
登山道上にもところどころ小さな囲いが作ってあって、ぼんやり歩いていると踏みつけてしまいそうになってしまいます。
しかしその分近くで見ることが出来るのは嬉しいですね。

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これまた、ぼんやり歩いていて踏みつけそうになったのは、ライチョウのつがいでした。
朝のお散歩をひどく邪魔してしまったようで、慌ててハイマツの影に隠れてしまいました。
冬毛に変わるのはもう少し先のようです。

大黒岳から岐阜県側のスカイラインへ出て、畳平方面へ戻ります。
まだ早朝なのでバスの往来はありません。
車道の真ん中を歩いてもよかったのですが、小心者のなので端っこを歩きました。

鶴ヶ池まで歩いて、再び県境の方へ。

P1000290.jpg
池をぐるっと囲ってある縁石のそばで、まん丸に群生したイワギキョウを見つけました。
すっかり終わってしまっている花もあれば、今まさに旬のものも。
こうして、長い時間咲き続けているのでしょうね。

今度は富士見岳へ。
いつも冬に滑る場所は、雪がないとやはり雰囲気は違っています。
あっさりピークハントし終わると、摩利支天岳はトラバースするように伸びている広い道を歩いて肩の小屋に向かいました。

肩の小屋のベンチを借りて、朝食の時間です。
お湯を沸かしてコーヒーを淹れ、作ってきていたベーグルサンドとデザートのバナナでエネルギー補給しました。

P1000302.jpg
小屋周辺では、イワヒバリがたくさんさえずり遊んでいました。
そんな姿は、まるで下界のスズメのようでした。
少し人慣れしているのか、適度な距離感を保っては飛んだり歩いたりする姿はとてもかわいかったです。

お腹が満たされたので、剣ヶ峰の山頂を目指すことにします。
ちょうどバードウォッチャーらしき男の子が何かを発見したらしく、大騒ぎしながら大きなレンズを構えているところでした。
おそらくライチョウでしょう…先ほどライチョウは確認したので、ここは先を目指すことにします。

P1000306.jpg
この日は、山並みがとてもきれい見えて、幾層にも重なる山のシルエットが美しく見えました。
眼下には乗鞍高原が見えエコーラインがくねくねと連なっています。
目の前の草はふわふわと風になびき、秋色に変わっているところでした。

蚕玉岳を過ぎて、剣ヶ峰の山頂へ。

P1000316.jpg
山頂で撮った1枚です。
バックには御嶽山が悠々とそびえています。
この時はまだ穏やかな山容でしたが、この日もまた火山性の地震が何度か発生していたのを後で知ることになりました。
自然と信仰とが調和した美しい御嶽山が戻る日は、いったいいつになるのでしょうか。

P1000314.jpg
頂上にあるお社のそばからのパノラマ写真です。
左手の大きな池は権現池です。
真ん中にコロナ観測所があり、焼岳、穂高、奥には槍ヶ岳が見えます。

早めのバスに乗らなければならず、美しい景色をしっかり焼き付け、足早に山頂を後にします。
天気が夕方まで良さそうで、1日が始まったばかりなので、後ろ髪引かれる想いです。

P1000333.jpg
高山植物の季節のフィナーレを飾るのは、トウヤクリンドウです。
写真を撮ったときはあまり気にしていなかったのですが、花の側面の青色がとてもきれいに出ています。
雪渓の残る池をバックに…。

P1000334.jpg
畳平の遊歩道で出会ったのは、真っ白なイワギキョウ。
白いものを見たのが初めてだったので、知らないキキョウの仲間なのかなと思っていたら、シロバナイワギキョウというらしいです。
またひとつ勉強になりました。

来年はどこでご来光を見られるだろう。
夏山を登り終えた今、次に行きたい山に想いを馳せるばかりです。



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王ヶ頭まで

今年の夏は天気が安定せず、天気予報と雨雲レーダーが気になってしまう毎日でした。
午後になってぐんと発達した積乱雲が現れるような日はほとんどなく、朝から雨雲ばかりが空を覆う日が続きました。


同僚とゆったりハイキングを計画した7月最終日の天気予報は曇り。
松本の街中から見上げた、これから行こうとしている美ヶ原高原はすでに真っ白。
雲に覆われてしまっていました。

それでもせっかくだから…と雨に降られるのを覚悟して、三城牧場そばの駐車場に車を止め、歩き始めました。
小川のせせらぎが涼しさを演出してくれるオートキャンプ場を抜け、広小場から百曲りコースを登りました。
緩やかなつづら折りの道は明るい樹林帯で、おしゃべりしながら登っていけます。

少し展望がききはじめると、様々な植物があちらこちらで見られるようになります。
トモエソウ、ヒメシャジン、ウスユキソウ、ヤマホタルブクロ、タカネナデシコ、ハクサンフウロなどなど。
花を撮り、景色を眺めて歩いていると、あっという間に稜線が見えてくるようになります。
少し頑張って登れば、あっという間に稜線に出ます。

20140812 (30)
塩くれ場への道を選べば、ゆったりと牧草を食べる牛たちに出会えます。
今回見た牛たちは、まだまだ若い牛でした。
高原の爽やかな風に吹かれながらのんびり過ごす姿は、美ヶ原高原の夏の景色でもあります。
牧場の中をゆっくり歩き、王ヶ頭ホテルまで広大な景色を楽しみながら歩いていきます。

20140812 (42)
こっくり濃いオレンジ色のコウリンカが咲いていて、楽しませてくれました。
時々吹き抜ける風は写真を撮る時は厄介だけど、とても気持ちがいいです。

お昼は、ホテル前のベンチで。
お湯を沸かしてコーヒーを淹れ、ゆっくりおしゃべりしながら過ごしました。

20140812 (41)
空に近い台地は、火山によってできた浸食地形と言われています。
この地形のおかげで、牧場はより広大に見えます。

20140812 (52)
ホテルの裏側に標高2,034mの王ヶ頭があります。
日本百名山でもあるこの山は、景色も抜群です。
御嶽山が一望出来るため山岳信仰の山でもあり、御嶽山の方を向いた神像があります。

ランチタイムをゆっくりしすぎたせいで、上空は雲がもくもく湧いてきていました。
王ヶ鼻までは行かずに、下ることにします。
下りはダテ河原コースを使いました。
下り始めてすぐの斜面には色んな花が咲いていて、さながらお花畑です。

20140812 (57)
優しい色合いのマツムシソウ。
涼しい草原でよく目にするこの花も、真っ盛りでした。

20140812 (66)
花が咲けば、チョウが集います。
たくさんの花にふわりふわりと飛び交うチョウたちがたくさん見られました。

ゆっくり歩いて下ること1時間半。
最後はオニグルミの果実が落ちている道を下って登山口に戻ってきました。

時間に追われない、余裕のあるハイキング。
おしゃべりやランチタイムが予定よりちょっぴり過ぎても大丈夫。
そんな楽しい時間を気の合う仲間と過ごせるのも、このコースの醍醐味です。



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